
マーケティングは今の時代に求められている。プログラマーが足りないというけれど、そんなもんじゃない。マーケターの世界的な枯渇は明らかだ。
Googleは優れた製品があったからここまで来れたのでしょうか?AppleやFacebookも?
優れた製品だけで成長できる企業はまずありません。

彼の名前はマーク・ベニオフ。ビジネス書が好きな人なら聞いたことがある名前かもしれない。彼はsalesforce.comの会長です。salesforceは今でこそ営業のマネジメントツールという立ち位置でナンバーワンになりましたが、市場に出て来た時にその価値を感じる人は少なかったと言います。
ではなぜその製品がここまで登り詰められたのでしょうか?その答えは明確です。salesforceのセールスとマーケティングの力が強かったからです。マーク・ベニオフはセールスの達人でした。彼は顧客に夢を見させるのが上手かったのです。
成功の要因を考える時に製品のことを考える人は多いですが、それは必ずしも成功を決める要因にはなりません。なぜなら歴史が違うと言っているからです。優れた製品で日の目を見ずに終わったものは多数あります。逆にそこそこの製品でも大成功を収めるものもあります。ここから言える結論があります。
成功とは優れたセールス・マーケティングによりもたらされるもの。ということです。優れたセールス・マーケティングは製品をたくさん売るだけでなく、顧客の離脱を防ぎ、製品の栄養素であるカスタマーフィードバックを手に入れて、LTV(顧客生涯価値)を高め続けます。
ラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、スティーブ・ジョブス、テクノロジー企業の代表者達はみんな、優れたマーケターであり、セールスマンなんです。開発者という側面が強く出ていますが、同時に彼らは自分達のサービスを説明させたら右に出るものはいないんです。
マーケティングとは何か?
改めてマーケティングという言葉について考えてみましょう。個人的にはこの説明が一番シンプルでわかりやすい。
マーケティングとは、セールスマンの前に買う気になった見込み客を連れてくること
つまり、見込み客に製品を魅力的に見せて、欲しいと思わせる仕組みのことをマーケティングと言います。
マーケティングには大きく分けて2つの種類があります。セールスマンがクロージングするか、ランディングページやセールスレター単体で売るか、の2種類です。医療や教育などの古典的な業界や専門的な知見がいる製品、保険などのようにトラブルになりがちな複雑なオファーなどはセールスマンがクロージングする方が後々のことを考えると効率的です。価格が安かったり、オファーがシンプルでわかりやすいとランディングページやセールスレター単体でも売れます。
ほとんどの日系事業会社(特にBtoB)はセールスマンとマーケターが協業して売上を作っています。BtoCでも保険会社はそうです。営業は決められたプロセスでクロージングをするだけ、経営企画が営業の設計やCMなどの広報活動をします。
一方でランディングページやセールスレター単体で売るとは、どのようなものでしょうか?AmazonのようなECサイトはその最たる例です。

https://jp.iherb.com/
セールスマンはいません。ランディングページがセールスマンです。それぞれの製品のランディングページはテストされ、高い成約を確保します。このモデルはマーケター一手で全てのプロセスを自動化できます。とても効率的です。しかしある意味では顧客が離脱する時の判断がしづらく、顧客が逃げやすいモデルとも言えます(サポート体制的にはテックタッチと言います)。
このケースのようにほとんどのECや一般消費者向けWebサービス、アプリ、BtoB向けの低価格サービスなど、マーケターがいて、後は製品さえあれば完結するものが最近はとても多いです。。
成長しているテクノロジー企業はエンジニアが目立ちますが、必ず優れたマーケターが在籍して、販売の仕組みを作り、自動化しています。マーケターはフィードバックの仕組みも実装し、開発者にロードマップも提示します。これでおわかりの通り、企業の心臓部はエンジニアではなく、紛れもなく彼らマーケターなのです。
デジタルマーケティングとは一体何か?
ではマーケティングに”デジタル”が付くと、一体何が変わるんでしょう。正解は「何も変わらない」です。
これまでのデジタルマーケティングの定義はデジタルやテクノロジーを通したマーケティング手法全体を指していました。例えば、、、
- ブログでWebサイトにトラフィックを集める(SEO)
- Youtuberに製品認知(ATL)をお願いする
- Webサイト来訪者にE-Bookを提供し、Eメールアドレスをもらう(リードジェネレーション)
- 見込み客の興味や関心に応じてメルマガの内容を変える(マーケティングオートメーション)
- ランディングページ(LP)で製品を売る
- オンラインクーポンを発行する
- チャットボットでWebサイト来訪者の質問に答える
- インターネット広告(リスティング、ディスプレー)を打ち、自社サイトにトラフィックを集める
- SNSで製品やブランド価値を広める
- ウェビナーで世界中の人に向けて製品プレゼンテーションを行う
- ベルフェイスでリモートセールスをする
- オンラインアンケートで顧客との接点を作る
上記はデジタルマーケティングの一例に過ぎません。逆に言えばテクノロジーを使わないマーケティング手法は現在ではほぼないので、そもそもデジタルマーケティングとアナログマーケティングとを区別すること自体がナンセンスになったんです。例えば古典的なテレマーケティングや新聞広告もデジタルマーケターがスクリプトやクリエイティブ、出稿計画を先導します。
デジタルマーケティングの定義は以前と比べて変わったということです。結果を残すことを強く求めらるので、区分けなど気にしている余裕はないんです。デジタルやテクノロジーを駆使してマーケティングの成果を達成するのがデジタルマーケティングの最新の在り方と言ってもいいと思います。DMを打って、テレマーケティングをして、ポスティングをして、製品パンフを作ってと何でもやるのです。
デジタルマーケターの仕事は?
デジタルマーケティングを理解したところで、今度はデジタルマーケターが具体的に何をしているのかを紹介します。最も一般的なスコープですので、多少の違いは企業により、あるかもしれませんが、仕事の大枠を理解いただければと思います。
成功条件(KGI)を確認する
目標はマーケター自身が決められることではありません。CEOには株主と取り交わす約束があります。そこから各部署にブレイクダウンした目標が言い渡されます。その数値を元にあなた自身のゴールを上司に確認します。無茶難題が飛んでくるケースも多いでしょう。マーケターはそれを冷静に分析して、実現可能性を算出しなければいけません。あまりにもかけ離れている場合はリスクを提言しましょう。ここで大事なことはマーケターの管轄とそれ以外は明確に分け、マーケター自身ができることを明言することです。
ゴール(KGI)は数字で出ます。例えばセールス含めてマーケティング領域とする場合は売上が〇万円、契約数〇件などとなると思います。マーケティングにある程度特化できる場合は新規リード数とCAC(顧客獲得コスト)が一般的です。サブスクリプションでカスタマーサポートやカスタマーサクセスも管理する場合は、チャーンレート(解約率)やリテンション(継続率)も合わせて管理することになるかもしれません。KGIはこれから行う全ての行動の目標になります。
次に取り掛かることはKGIを念頭に置いて、販売のプロセスを作ることです。
販売の設計図、ペルソナとマーケティングファネルを考える

- 理想的な顧客は誰か?
- その顧客は何を望んでいるのか?
- あなたの製品をその顧客の記憶に留めるにはどうすればよいか?
- さらに関心を持たせるにはどんなことができるだろうか?
- 製品を使いたい、欲しいと思わせるにはどうすればよいだろうか?
- 製品を買ってくれた後はどうやって顧客と接するか?
- 顧客があなたの元から離れそうになった時に何をすべきか?
- 顧客の声をどうやって製品に組み込むのか?
設計図は上記の質問に答える形で作ります。重要なことは全ての質問に答えるには顧客を明確にイメージしなければいけないということです。理想的な顧客を決めないことには設計図は作れません。ちなみにこの理想的な顧客のことを専門用語でペルソナと言います。ペルソナについて詳しく知りたいという方はブログタイトル:本当に役立つマーケティングペルソナの作成方法を参照してください。実際にペルソナを作ってみたい方は以下のE-Bookが役に立ちます。

ペルソナテンプレ
ペルソナの大切さはわかってても、まともに作れたことないでしょ?今度こそ”意味のある”ペルソナを作りましょう。このワークブックがあれば間違いなし。Eメールアドレスを入力するだけで無料プレゼントしています。
次に販売プロセスを考えます。その設計図のことを専門用語でマーケティングファネルと言います。詳細は割愛しますので、詳しく知りたい方は、ブログタイトル:リードナーチャリングとは何か?見込客を顧客化するシナリオを読んでみてください。実際にマーケティングファネルの作成に取り掛かりたい方は以下のマーケティングファネルテンプレートをダウンロードするとファネルが作れます。

ファネル設計してないの、、、?
マーケティングの全体像を設計していないのに個々のキャンペーンを走らせるのはやめてください。設計図(ファネル)を入手して今すぐ全体像を作り上げましょう。メールアドレスを入力するだけで無料で手に入ります。
マーケティングファネルは販売工程全体の設計図です。マーケティングを実行するには少し粒度が荒いので、もう少し具体的に考える必要があります。
ファネルをブレイクダウンしてカスタマージャーニーマップを作る
そこでカスタマージャーニーマップを作ります。以下のジャーニーマップは、とあるWebサービスのマーケティングで使用した実際のものです。

カスタマージャーニーマップは製品を認知してから契約するまでに行う施策の設計図です。その施策をすると、見込み客はどういう状態になるのか?どういった行動をするのか?を考えます。
横軸にはマーケティングフレームの各フェーズをとります。僕の場合はAISASをよく使います。AISASは最近の人の行動とマッチしているので、強くオススメします。どのフレームワークを使ってもいいですが、要は、、、
認知→関心→欲求→成約
という一般的な感情の変化を表現しているフレームワークを使えばOKです。
次にカスタマージャーニーの縦軸ですが、
- ペルソナの行動
- 求める情報
- 施策
- 利用するメディア
を考えます。
どういった施策をすることで何を得られるのかがイメージできてくると思います。つまりはマーケター自身がどんな目的のために何を優先してやるか、何をやらないか、を決める。それがカスタマージャーニーマップの役目です。
中間目標(KPI)の設定と効果測定
最初にKGIを決めました。それを元に販売の全体像であるマーケティングファネルを考えました。ファネルをブレイクダウンしてカスタマージャーニーマップを作り、実行できる施策も考えました。ここまでは問題ないでしょうか?
次は施策の実行といきたいところですが、まだ実行するべきじゃありません。施策が上手くいったかどうかを判断できるようにしなければいけないからです。その基準がないと、マーケターはどの施策にどれだけ投資をするべきか判断がつかなくなります。どうやってその効果を測定すればいいのでしょうか?
KPIという中間目標を設定し、その施策がKGIにどれくらい寄与しているのかを測定します。各施策毎にKPIを設定し、月ごとに集計して、効果を見ると理想ですが、認知の施策など、明確な目標を設定しづらい施策もあるので、効果測定するコストが上がります。大企業であればリソースが豊富にあるので、アンケートをとってブランドの価値を一定期間で計測し、認知フェーズの広告を調整したりもできますが、そうは中々いかないのが実際のところです。ですので、最低限以下を定点観測します。
- 成約率
- ランディングページまでの到達数
- ランディングページまでの各経路の目標数※ツールが必要
何かしらのベンチマークがあって、その数値がわかるならその数値をKPIとして、実数値とのギャップを分析すると効率的です。もしベンチマークがないなら、とりあえず運用してみて、毎月の推移から目標数を決めたり、KGIからブレイクダウンして目標値を設定したりと、いずれにしても意味のある数値設定をしましょう。
3つの数値はツールである程度計測できますので、そこはあまり手間は掛かりません。それ以外にも不定期でアンケートを実施したり、顧客にインタビューの機会をもらったりします。どういったきっかけでその製品を知ったのか、興味を持った理由、購入の決め手、他社と比べてどの点が良かったのか、顧客の実際の声を拾うことも重要です。
コンテンツ、クリエイティブの制作
コンテンツやクリエイティブの制作は誰がそれを作って、どうやって品質を担保するのかのルールを作らなければいけません。深い製品、業界、競合、顧客の知識が必要不可欠なので、アウトソースする場合に高度なディレクション能力が求められます。マーケター自身が制作できる場合は全くもって問題ないはずですが、中々そうもいかないのが実際のところなので。
訴求ポイントがずれていないか、どのくらいのCVを見込めるのか、このあたりの品質を厳しくチェックし、指摘します。納期や予算の管理も含めて行うのでプロジェクトマネジメントの知見をある程度有していることが求められます。どこまでを社内で行い、どこから外注するのか、それを決めることからスタートします。

レッドブルはコンテンツ制作にかなり力を入れています。独自のコンテンツスタジオを持っていて、CMやYoutubeの動画クリエイティブから、Webサイトに掲載するコンテンツ、紙物まで一手に作れる体制が社内に整っています。このようにするには当然資金が必要です。
レッドブルは極端な例で、実際のところはブログやメルマガ、ランディングページは社内。動画のみ外注。のように棲み分けをはっきりさせているところが多いです。
広告出稿
広告運用についてもアウトソースする企業はとても多いです。外注先が暴走しないように管理する程度の仕事ですが、内製でガツガツやる企業は細かく運用を管理しています。個人的には広告運用こそ社内でやるべきと思います。やればやるほど上手くなり、広告コストは下がって、成約率は上がっていくからです。
手始めにリスティングからスタートする企業が多いです。上手くできるようになったら、ディスプレー広告、SNSなどのターゲティングをします。リスティング広告について詳細を知りたい方はブログタイトル:Yahoo・Googleリスティング広告 費用対効果の高い運用方法を見てみてください。
プレスリリース
マーケターはコミュニケーション能力を強く求められます。セールスマン以上に製品のポイントをわかりやすく的確に説明できなければいけません。その理由はその製品を広めてくれる報道関係者達へ詳細にわかりやすく、正確に情報を伝えることが求められるからです。
報道関係者との接点は広告代理店やブローカー経由が一般的なパターンです。その人脈形成もマーケターに求められることの一つです。
ジョイントベンチャー(JV)
同じくコミュニケーション能力が求められる場面として、販売を代行してくれるパートナーとの接触があります。代理店やアフィリエイターのようなジョイントベンチャー(JV)は広く浅く、情報を拡散してくれる報道関係者達とは違い、成約までコミットメントしてくれます。この人達とは深い関係構築と説明が度々求められます。
デジタルマーケター志望者への堅実なメッセージ
マーケティングにおける経験とは、マーケティングの計画、施策の実行と成果の分析、施策の改善という一連のプロセスを指します。これには先ず製品が必要です。そして製品の売上げからマーケティング費用を捻出しなければいけません。
デジタルマーケターとして企業に属す
年齢が若いならマーケティングの見習いとして、企業に属すのが堅実な選択肢でしょう。企業の選び方には注意が必要です。事業会社であることが絶対条件です。請負案件やマーケティング代行は僕はおすすめしません。製品に愛着を持てないからです。これはマーケターとしての意識を下げます。特定の製品で売上げを作っている事業会社に属しましょう。
次の選択肢としてBtoCなのか、BtoBなのかがあります。この2つでマーケティングプロセスは大きく変わります。BtoCの場合は一般的にはWebマーケティングが中心になります。ブログやSNS、Web広告でトラフィックを作る術を学び、リードを獲得してコミュニケーションする方法を経験します。効果的なランディングページの作り方を覚えて、一気通貫で販売まで行います。
日本の企業体で考えるとBtoBビジネスの方が多い(資本金が少なく済むから)ので、BtoBマーケティングに着任する可能性の方が必然的に高くなると思います。BtoBも大きいカテゴリーとしてランディングページで売れる製品か、セールスマンがクロージングする製品かで、カテゴリーが分かれます。注意して所属する企業を選びましょう。
- 全てのマーケティングを経験したい人はベンチャーのBtoC向けサブスクリプションビジネス
- Webマーケティングに特化したい場合はEC系大手企業
- セミナーや代理店管理など古典的なマーケティングを経験したい場合は歴史のあるBtoB向け製品の事業会社
- セールスとマーケティングの協業体制を理解したい場合はsalesforceのようなBtoB向けサブスクリプションビジネス
副業としてマーケティングの全工程を経験し、マスターする
年齢や経験を問わずに誰でもマーケターを目指せる画期的な方法です。やり方は製品を作り、自分でマーケティングの仕組みを実装するというもの。敷居が高そうと思うかもしれませんが、ここで言う製品とはEラーニングのコースを指します。UdemyやSkillshareのように知識をデジタル商品化し、マーケティングでそのLPへ人を集めるというものです。これをやると、様々な企業にマーケターとして転職できる可能性が広がります。上手くいけばこの事業売上げで独立も可能です。
Eラーニングの概要について知りたい場合は、ブログタイトル:Udemyで講師になるには?先生経験なしでもできるリスク0な起業方法が便利です。
体系的に着実に全ての工程を理解し、引く手あまたなデジタルマーケターになる
最後の方法として、体系的に学ぶ方法を紹介します。この方法は時間は掛かりますが、着実に力をつけて、起業や企業マーケターを目指せるでしょう。
書籍では中々まとまった知識が手に入りません。Webマーケティングや広告の管理方法については10万円前後で概要を学ぶことはできるでしょう。しかしトータルで学ぶ方法はまだありません。
現時点で良い選択肢はGENERAL ASSEMBLYのデジタルマーケティングコース。正直言って、これほど体系立っていて、且つ現場で使われるリアルな手法を教えてくれる講義は過去にも、おそらく未来にも中々出てこないかもしれません。ただし、日本国内での受講はできません。近場だとシンガポールに滞在して受講することになります。また英語での講義になります。
さいごに
長文にも関わらず、最後まで見ていただきありがとうございました。
全ての企業を支えているのは紛れもなくマーケターです。あなたもその一人としてデジタルマーケティングに足を踏み入れたとするとそれはとてもうれしいことです。マーケティングは素晴らしい仕事です。僕の周りのマーケターはみんな幸せそうに働きます。むしろ仕事をしている感覚はありません。楽しいことをしているのです。マーケティングとはそういうことです。常に情熱的になれる世界をあなたも是非楽しんで欲しいと思います。