
”クレーム”と聞くとネガティブな印象を受けますが、お客さんと深くコミュニケーションをするチャンスと捉える人もいます。適切なクレーム処理は、その後LTVが向上するというテスト結果があるくらいです。どうすれば自分にもそれができるんでしょう?米クラウド型サービスのスーパーカスタマーサポートはこうやっています。
サマリー
要望とクレームを切り分ける
”要望”と”クレーム”は時に微妙です。相手の態度次第では要望にも感じるし、クレームとも感じます。これをサッと切り分けます。
要望とは商品やサービスが提供する基本仕様を越える要求のことです。一方でクレームとはお客さんが商品やサービスを購入する時に予想していた価値が実際の商品やサービスで満たされなかったがために発生するお客さんの主張のことです。お客さんの言葉尻に気を取られていると、この2つを混同してしまいがちです。要望はネガティブなことではないです。商品やサービスがより売れるようになるアイデアですから。実はクレームすらネガティブではないのです。正しく処理できるようになればですが。クレーム処理は取捨選択です。
良いクレーム
- 商品やサービスを使いたいと望んでいるけど、どうしても取り払えないボトルネックを主張している
- 信頼していたブランドだったけど、それを裏切るような対応があった
悪いクレーム
- 自分達のビジネスのレール上に乗らない改善要求
- ケチをつけて見返りを求める
- 声の大きいライトカスタマーからのクレーム
良いクレームをリストアップして、悪いクレームを捨てる。悪いクレームへの対応はこんな感じでOKです。
「ご不便をお掛けして申し訳ありませんでした。しかしながら、内容を検討した結果、お客様の要求に応えることができかねるという結論に至りました。どうかご容赦ください。」
このくらいドライで構わないのです。
初動のやり方次第で80%は上手くいく
良いクレームには真摯に向き合わなければいけません。最初の動きで上手くいくかいかないかは決まります。ここでやることは感情的になっているお客さんを普段の状態に戻すことです。不満を持っているわけですから、それを渡してもらうように誘導することがあなたの仕事。つまり話を聞くことです。話しを聞いている中で、もしもあなたが感情的になってしまったら、それはあなたの負けです。これはビジネス。話しを聞きながら以下の点を冷静に考えてみてください。
- 基本仕様に満ちていない不満点は何か?
- 彼らは何を望んでいるか?(例:今まで不便に利用していた対価を支払ってほしいetc)
- 彼らにできる提案は何か?基本仕様との差異を満たすアイデア+α
- 最悪のシナリオ(顧客リストからの離脱)が起きた場合の影響
クレーマーをリピーターに変えるアプローチ
上記のリスト項目はクレーム対応の設計図になります。次の工程は、それを持って具体的に行動すること。上手くやれば通常のカスタマーステータスからロイヤルカスタマーに変化します。ここが頑張り時です。
提案はできる範囲で構わない
お客さんが喜ぶような提案ができないこともあります。でもそれでいいのです。クレームに対応するためのスペシャルオファーは顧客ステータスで見極めます。購入者プロフィール的にライトユーザーであれば手厚いリカバーをする必要は必ずしもありません。怒らせて顧客リストから離脱させるくらいドライな対応が必要になることもあります。
HangoutやSkypeで個人的に即時的に対応する
対応方法で重要なことは機械的に処理しないことです。マニュアルは場合によっては悪影響になります。セールスのスクリプトはいいですよ。でもクレーム対応マニュアルはカスタマーサポートを縛り付けて柔軟性を失わせます。お客はただ話を聞いて欲しい。それだけなのに的を得ない回答を連発する。これでは逆効果です。やるべきことはシンプルなんです。個人的に話を聞く。たったそれだけ。
メールにてクレームをもらった場合、こんな風に返答いたします。
「この度はご不便をお掛けして大変申し訳ありません。どのようにすれば改善できるか検討したいので、先ずは状況の整理のため、お話しを伺わせていただきたいと存じます。お電話もしくは電話口で話されることに抵抗があるということでしたらチャットツールでのお打ち合わせをセットいたします。いかがでしょうか?」
この時点でクレームはほぼ片付きます。誠意が伝わるのでお客さんは満足なんです。
「いや、ただ話を聞いて欲しかったんだ。そこまでしてくれなくてもいいよ。ありがとう。」
と返答をもらうことがまあよくあります。こちらが個人的に即時的に話を聞く態度を見せれば大抵は上手くいくということです。
お詫びの気持ちを伝える手札を持っておく
デキる人はさりげないです。何かあった時にサッと贈り物をする。こういう手札を持っておくと、いざって時に役立ちます。オンラインの対応は一見そっけないですが、やりようによっては温かみが感じられるように仕向けることもできます。例えばコレ。

URL:https://gift.starbucks.co.jp/card
スターバックスのオンラインギフトです。コーヒーが嫌いかどうかなんて関係ありません。こういうさりげない気持ちを送ることで、顧客との距離を一気に縮められます。
まとめ
ここまでのステップをまとめると、、、
- 要望とクレームを切り分ける
- 良いクレームのみリストアップする
- 満たせていない基本仕様を把握する
- お客さんが本当に求めていることの仮説を立てる
- お客さんのLTV(顧客生涯価値)が最悪のシナリオを鑑みた時に対応に値するか検討する
- 出来る範囲での提案内容を検討する
- 電話やチャットツールで提案する
- 相手を敬い、さりげなくお詫びする
少なくとも僕はこの方法でずーっと上手くいっています。一つのひな形としては十分に機能するはずです。
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