
アプリやWebサービスのマーケティングは地道な作業だ。AIDMAのAから順々にやっていくことが最も近道で、ショートカットをしようとしても、あまり上手くいかないだろう。ECのようなダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)はコピーの反応を改善するという明確なタスクがあるが、アプリやWebサービスは中々そうもいかない。ユーザーを増やし、利用を促進し、製品を広めるなど、タスクが多岐に渡る。
VTS(View Through Search)という単語を聞いたことがあるだろうか?これは普段あなたがアプリやWebサービスを知ってから、ヘビーユーザーになるまでの行動そのもののことを言う。あなたはサービスをビジュアル的に知る。何度も何度もその広告やコンテンツを見るうちに、それが頭にこびりつく。時間に余裕が出来た時に少し深くそれを知ろうとする。どうやって知るか?それがVTSだ。記憶に残っている情報を元にキーワードを検索する。
検索結果の一番上には、そのサービスのサイトが表示される。ここが重要だ。あなたはそのサイトに自発的に行く。向こうが促したわけではない。直接購入を促さないアプリやWebサービスにとって、開発サイドがアドバンテージを握ることは極めて重要だ。あなたはそのサービスを使うか、使わないか選択する権利はあるが、アドバンテージは開発サイドにある。サービスサイトにはcookieが仕込まれており、Webサイトを移動するたびにリターゲティング広告を見ることになる。あなたはより深くそのサービスを記憶に刻むことになるんだ。
VTSがいかに強力かイメージできましたか?アプリやWebサービスの成長にVTSの概念は外せません。ユーザーはそのアプリやサービスをふとしたきっかけで知るわけですが、認知はどんどん進んでいくんです。そうすると何かのトリガーで情報を取りに行こうとする。そういう状態にできればユーザー登録をさせることは難しくありません。
では効果的なVTSはどうすればできるのでしょうか?
サマリー
ネーミングは練りに練る
サービス名は重要です。わかりやすければやすいほど、VTSではそのサービス名で検索されます。そのサービス名で検索されるとはどういうことか?リスティング広告のコストが減るということです。
短くて、歯切れが良いサービス名が理想です。韻を踏めば尚良い。10人くらいの見込み客に名前の候補を見せてみましょう。最も印象に残るものがベストな選択肢です。
小林製薬の商品名は参考になります。薬事法はとてもシビアで商品名はその制約をモロに受けます。小林製薬の商品名はどれも、短いのに商品の利点をストレートに表しています。
印象に残る動画クリエイティブ
VTSでは動画が必要です。その動画を出す媒体はYoutubeでもいいし、Facebookでもいい。もしくは業界の専門サイトでもいい。CMが打てるならかなり理想的です。とにかく動画であるべきです。
ですが動画のクリエイティブは最も難易度が高い。素人が自前で作るのはしんど過ぎる。最近は動画制作のツールが大量に出ているが、それを使いこなせれば作れるというわけではありません。動画にはシナリオが必要。シナリオとは何か?それは顧客がアプリやWebサービスを使う前の状態と、利用した後の理想的な状態の間を設計するということです。計算されたシナリオから作られる動画はこういうものになります。
プロに任せるべきです。素人は動画は作れても、シナリオを書けないでしょう。それを踏まえてもあなた自身でやりたいと考えるなら、せめてコピーライターにあなたのアプリを説明し、シナリオを書いてもらいましょう。
VTSの受け口であるランディングページ(LP)をしっかり作る

最も重要なパーツはランディングページ(LP)です。動画マーケティングが上手くいくとあなたを探す大量の検索キーワードクエリが発行されます。それを一人残らずキャッチするには効果的なLPが必要です。LPの作り方は、ブログタイトル:ランディングページを最適化(LPO)する方法の記事を参照してください。
様々な媒体とあなたとを繋げてくれる市場のオーガナイザーを探す
プレスリリースは基本中の基本です。やらないという選択肢はないでしょう。革新的な機能のアップデート時もリリースを打つべきです。プレスリリースはVTS以外にも、電話での問い合わせや間接競合からのコンタクト、思いも寄らない権威からの手紙など、色々な形で恩恵を運んできてくれます。
お金を出せばプレスリリースを打つことは難しいことではありませんが、その道のプロに相談するのがベストです。そのような市場のオーガナイザーはSNSで簡単に見つけることができるはずです。広告代理店で働いていたけど、今は別のことをしている人が狙い目。あまり高くない金額で様々なチャンスを与えてくれると思います。上手くコミュニケーションし、お互いがWinWinになるように提案しましょう。
リリースを出す前に受け口(LP)はしっかりテストしておくこと。LPがザルだったら、せっかくのPR活動が台無しになります。
リテンションの仕組みを作る
リリース前でも解約(チャーン)や顧客の離脱を防ぐ仕組みは考えておくべきです。それがないなら、すぐさま取り組まなければいけません。取り急ぎ、やることは次の2つです。
- カスタマーサポートの設置
- カスタマーサポートに入るユーザーのフィードバックを元にアプリやWebサービスを改善し続ける
余裕が出てきたら、利活用の提案部隊であるカスタマーサクセスを設置しましょう。そこまでいけばチャーンはさらに減るし、アプリやWebサービスはさらに良くなるでしょう。
セミナーやコンベンションに出てみる
BtoB向けの業務アプリなら、関連するセミナーやコンベンションに何小間かスペースをもらって出展してみてはどうでしょうか?この施策はアプリやWebサービスのマーケティングでは唯一のショートカットかもしれません。一概には言えませんが、経験としてROI(費用対効果)は高くなりやすいと思います。ただし人的リソースを食うので、一般消費者向けのサブスクリプションモデルには不向きかもしれません。
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