
営業をしなくても案件が自動で舞い込んでくる方法はあります。この方法であれば価格勝負にはならないし、受注後も優位に案件を進めることができます。この記事ではインバウンドに案件が向こうからやってくるMA(マーケティングオートメーション)システムの作り方を説明します。
サマリー
ステップ①ポジショニングを定義する
あなたの優位性を整理することからスタートです。ポジショニングという言葉を知っていますか?別名USPです。これはあなたが所属するビジネスカテゴリーの中で競合と比べたあなた自身の立ち位置のこと。例えばあなたはRuby on Railsのフルスタックエンジニア。でもそういう人は他にもたくさんいるし、開発会社も無数にあります。それらをチャートにマッピングすると、点の数がエラいことになっているはずです。では見込客はたくさんのチャートの点の中からあなたを見つけるにはどうすればいいのでしょうか?そこでポジショニングの出番なわけです。
ポジショニングを考える上でいくつかポイントがあります。
- 存在する市場(ビジネスカテゴリー)の一部分を切り出す(ニッチ)。間違っても新しい市場を創造しない
- ニッチは可能な限り絞る(例:女性ブロガー向けコンサルタント)
- ニッチの中で一等賞になる
- シンプルで理解しやすいキャッチコピーを作る
案件を自動で獲得するマーケティングオートメーションの仕組みを実装する上でポジショニングはその指針となります。これがないと確実にブレます。
ステップ②理想的なクライアントは誰か?
競合にはできない、あなただけの価値が明確になったと思うんですがどうでしょう?OKであれば次。その価値を本当に届けたい見込客を具体的に決めます。男性?女性?年齢は?理想的なクライアントを定義してください。これがないとポジショニング同様、コンテンツ作りでブレが起きます。ここでのポイントは2つ。顧客属性を具体的にし、①実在するレベルまで顧客属性をブレイクダウンすること。それと②ターゲットにする顧客の認知フェーズを決定すること。この2つです。認知フェーズとは、あなたの手を今すぐに借りたい”問題を高く認知”している見込客なのか?それとも”潜在的に”あなたのスキルを求めている見込客なのか?どちらを相手にするのかを決めてください。これらはリスティング広告を打つ時にアプローチの仕方が違うので必ずどちらか一方に絞ってください。一般的には低認知な見込客の方がリードの獲得は楽ですが、受注に繋がりづらい、もしくは受注までに時間がかかります。
理想的なターゲットの作成にはまずペルソナです。あれ?ペルソナ知らないんですか?ではこれをどうぞ。

ペルソナテンプレ
ペルソナの大切さはわかってても、まともに作れたことないでしょ?今度こそ”意味のある”ペルソナを作りましょう。このワークブックがあれば間違いなし。Eメールアドレスを入力するだけで無料プレゼントしています。
ステップ③競合のオファーをリサーチする
オファーとはクライアントがあなたにお金を支払う代わりに、あなたがクライアントに提供する価値のことを言います。開発受託や商品だけがオファーではありません。サポートや返金保証、ボーナス特典も含まれます。そもそもクライアントがお金を支払おうと決断するのは支払う価格以上に得られる価値が大きいと判断した時です。基本的に成約には次の3つが大きく関わります。
- 良質な顧客リスト
- 良質なオファー
- 良質なコピー
エンジニアとしての腕の良さと案件の成約率は比例しません。LTV(顧客が生涯に渡ってあなたに落とす総額)には影響します。ですがリードを得るのに腕の良さは全く関係ないんです。
成約で一番重要なことはリストです。リスト集めは時間が掛かるので、すぐに改善できる要素ではありません。しかしオファーは違います。オファーはすぐに変えられます。バリエーションを知ってさえいれば、それだけで競合よりも優位に立てます。オファーを知りたい方は以下のバナーからオファーの辞典を受け取ってください。世界中のオファーが網羅されています。もちろん無料。

マーケティングオファーの辞典
「こんなの今まで見たことない!!」
結構そう言われますよコレ。だって世界中のオファーを集めた本なんてなかったんですから。それがなんとメールアドレスを入力するだけでプレゼントとは。
「クラウド 業務システム 開発」でググってみてください。
いくつか受託開発請負業者が出てきます。リスティングを打っている、とある開発会社は開発事例を渡すからメールアドレスをよこせというオファーをしています。コレ誰がEメールアドレスを渡すんですかね。正直渡すほどのインセンティブがあるとは思えないんですが、、、。ちなみにコンタクトフォームへの誘導リンクもありますが、オペレーションがわかりづらいです。この競合を蹴ちらすのは楽勝でしょうね。もっと検索ユーザーの内面を覗く努力が必要です。例えばこんな感じ。
「作りたいものがある。でもどの会社に頼めばいいかわかんないな、、、。信頼性は重要だね。でも大手開発会社特有のめんどくさいやり方されたらかなわんし、、、。とはいえ、中小の開発会社はちゃんと請け負ってくれるものか、、、。曖昧な見積りや要件定義は、それはそれで怖いしな、、、。」
これを満たすオファーができれば良い成約率が期待できます。ランディングページの中でオファーを提示する時は以下の点に気をつけるといいです。
- 要件毎の概算プライスリストを表示する
- 価格に含まれるサポート内容を提示する
- 支払い方法やオプションを明示する
- 必要最低限な入力フォームを用意し、わかりやすいオペレーションをする
強いオファーを作ることにお金は掛かりません。必要なのは大胆さです。少し前にとあるEラーニング教材を90日の返金保証と180日の返金保証の2つで販売テストしたことがあるんですが、その結果90日の返金保証ではCV率が3.2%、返金依頼率が8%でした。そして180日返金保証ではCV率が4.8%と上がり、返金依頼率は90日とほぼ変わらなかったんです。見込客に安心を与えられれば成約率は上がります。それに返金保証期日をいくら伸ばしても依頼数にそこまで影響しません。大胆なオファーで信頼性をアピールしましょう。
競合と比べて強いオファーが作れたら、次に進みましょう。
ステップ④インバウンド型案件受注システムをMA(マーケティングオートメーション)で実装する
ステップ③までは設計工程です。ここからはマーケティングオートメーションを実際に作り上げていきます。手を動かすのでエンジニアやデザイナーの人にとっては楽しい工程かもしれません(僕は嫌いなので外注しています)。やることはこんな感じ。
- 独自ドメインのメールアドレスを取得する
- リスティング広告の受け口を作る
- CRMで顧客管理する
- リスティング広告を打つ
独自ドメインのメールアドレスを取得する
ビジネスである以上、サイトドメインやメールアドレスは独自ドメインが必須になります。XSEVERであれば管理サイトでサイトへのドメイン設定とメールのドメイン設定が簡単にできます。間違ってもGmailドメインとかやめてくださいね。
Webサイトを構築する
リスティング広告を打つ前に受け口となるサイトを作ります。マーケティングオートメーションを実装したいので個別にランディングページだけをホスティングするようなメルマガサービスとかは使いません。Webサイトを作るならWordpressを使えと言っているのは、検索エンジンを作られているGoogle様。多分GoogleとWordpressは癒着してます。ということでWordpressを使いましょう。僕なりのやり方を書きますが、それが全てじゃないです。
- XSEVERとサーバー契約をする
- WordPressをインストールする
- Genesisのテーマを選びインストールする
- Contactform7プラグインをインストールし、ランディングページと依頼フォームを作る
ポイントは2つです。
信頼性のおけるサイトにすること。これはプロのようにシンプルで洗練されたデザインを目指してください。一昔前のマーケターはデザインは重要ではないと言います。でも断言します。デザインはとても重要。デザインセンスが必要なわけではないです。既存の洗練されたテンプレートと素材を使えばいいだけです。また最低限のSSL(https)を導入して、サイトシールを貼り付け、来訪ユーザーが安心して閲覧できる環境にしてください。金は掛かりません。

画像引用:STUDIOPRESS
URL:https://www.studiopress.com/
もう一つのポイントは受け口となるランディングページと依頼フォームの最適化です。僕はコピーの専門家なので本当はコピーのことをとやかく書きたいわけです。でも、そうすると見るのが嫌になるくらいの長さの記事になってしまうので、ポイントだけ書くことにします。
- あなたの実力ではなく、見込客にとってどんなメリットがあるかを書く
- メリットは必ず実績や事例を使って証明する
- ワンディシジョン(ランディングページに他ページへのリンクが含まれないようにする。ランディングページで見込客がとれるアクションは依頼フォームへのリンクボタンのみ。)
- 依頼フォームの入力項目をわかりやすいオペレーションにする(開発を請け負うならフォームの内容だけでRFPが起こせるような入力項目を用意する。そして不要な項目は設けない)
「About me」や「実績ページ(ポートフォリオ)」。この2つを軽く実装しておくと成約率アップが期待できます。やろうと思えば、いくらでも時間を掛けられることなので、ざっくりでいいですからね。時間の経過と共にブラッシュアップしていけばいいんです。こんな具合でサイト全体像を作って、依頼フォームまで作り上げてください。
次に依頼してきた見込客を管理するツール(CRM)をサイトと連携させます。
CRMツールを連携させる
Webサイトまで作っているのになぜ顧客管理をしないか疑問です。これをやっておくだけで案件がなくなった時にメール一本で案件を獲得できる可能性があるのに。一度獲得したリードは大切に管理すべきです。顧客がどういったステータスにあるかを管理するツールがCRM。オススメはHubSpot製CRMです。無料で利用可能で各種メールと連携できます。Webサイトで獲得したリードをこのツールに突っ込んでいきましょう。

画像引用:HubSpot
URL:https://www.hubspot.jp/products/crm
ここまでで最低限のシステムは構築できましたね。あとはランディングページにトラフィックを流すだけです。トラフィックはどうやって作るのでしょうか?そこでリスティング広告の出番です。
リスティング広告を打つ

リスティング広告のことを書くと300ページの本が一冊かけてしまうので、ポイントだけ列記します。
- 複数のキーワードを1つの広告文にリンクさせる場合はその複数キーワードのコンセプトを揃えること。コンセプトが外れるものは別広告を作る
- キーワードの入札金額は必ず平均よりも少ない金額でテストしてCTRではなく、CVまで至った数値で良し悪しを判断する
- 結果の出ているキーワードには個別に広告を設定する
- AdWordsコピーはABテストを繰り返して成約率を監視する
- ランディングページのテストも繰り返し行い、成約率を監視する(Googleアナリティクスでできます)
おしまい。
今回はリスティングを使ってクライアントをCRMで管理し、手が空いたらすぐに案件を獲得できるシステムを構築しました。リスティングを打つのでコストは掛かります。ちなみに時間は必要だけど、コストを掛けないでリードジェネレーションしたい方はこの記事をどうぞ。
コメントを残す