
僕がまだ小学生だった1990年代。その時代のソフトウェアの売り方は開発会社が直に売るのではなく、代理店に任せることが一般的だったようです。当時インターネットの普及がまだまだだったので、直販チャネル開拓が難しかったことと、効率の悪さがその理由でしょう。
そんな中、とある開発会社が直販によるソフトウェアの販売を始めました。salesforceです。インストール型ソフトウェアが主流の中でWebを介して提供するSaaS系サービス(ASP)でソフトウェアを販売していました。
プライシングはインストール型のような買い切り(ワンタイムペイメント)ではなく、毎月支払う継続課金の形態。この方式ができる前というのはユーザー側でインフラ構築して、専門的スキルを持つ管理者を雇ってと、一大事でした。ですがこの方式により、契約だけ済ませればすぐにWebを介してサービスが提供されるようになりました。会計的にも管理が楽になったと思います。
事業会社の担当者としてはリスクや手間が少なくなったので、大変有難い話だったと思います。この画期的な方法は瞬く間に広がり、Web技術の発達も相まって成長を続けました。そして今もその成長は続いています。
この方式がサブスクリプションです。厳密には方式というよりもオファー(取引条件)なんですが。
最近では、それまでワンタイムペイメントで商品を売っていた事業会社がサブスクリプションに変更する風潮があります。その一つがAdobe。

クリエイターやマーケター向けにインストール型ソフトを開発・販売する企業です。この会社はオファーをサブスクリプションに変えることで大成功しました。インストール型のソフトウェアですが、起動時にWebと繋がっている管理アプリと認証して、サブスクリプションモデルを確立しました。
サマリー
サブスクリプションのメリットとは?
企業にとって期が終わるギリギリまで売上予測が立たないことは経営がしづらいものです。もしも期初にそこそこの精度の売上予測が立てられると内部リソースの管理や投資の計画が立てやすくなりますよね。そこでサブスクリプションなんです。リード数、コンバージョンレート(成約率)、チャーンレート(解約率)の平均値が見えてくれば、高い精度の売上予測が立つようになります。
サブスクリプションモデルの全体像
サブスクリプションと小売りECサイトのようなワンタイムペイメントとではファネル(マーケティングの設計図)の構造が異なります。
一般的なファネルがコレです。

間口の広い入り口では大量のトラフィックを受け取ります。その後ナーチャリング(コミュニケーション)やセールスのように工程が進む毎に一定数が離脱していき、残った人が自社の顧客(バイヤー)となります。このファネルは売ったところまでしか設計できないので、継続課金のようなリピート性を考慮できません。
サブスクリプションでは以下のように、バイヤーがグルグル回る(アドボケイト)ファネルが必要です。

リードとコミュニケーションを取りホットリードにします。それをセールスがクロージングしバイヤーにする。もしくはLPでバイヤーにします。その後は一番右の円の流れに入り、ここを出さないようにカスタマーサクセスやサポートが継続率を伸ばしていきます。
ちなみにこのファネルは僕らのテンプレートなんで良かったら使ってください。使いやすいと思います。以下フォームにメールアドレスを入力していただければ無料でプレゼントしています。

ファネル設計してないの、、、?
マーケティングの全体像を設計していないのに個々のキャンペーンを走らせるのはやめてください。設計図(ファネル)を入手して今すぐ全体像を作り上げましょう。メールアドレスを入力するだけで無料で手に入ります。
人がセールスするのか、LPがセールスするのかは売る商材の特性によると思います。例えば保険のように、それなりに詳細な説明と決断が求められるような商材であればLPだけでは現実的じゃないけど、基本的なものであれば大抵LPだけで売れます。よっぽど高価なものとかでない限りは。
サブスクリプションのトレンド
サブスクリプションはオファー(取引条件)です。少しの工夫でAdobeのようにワンタイムペイメントから切り替えることができます。最近だと車とか洋服とかのレンタルサービスがそうです。
サブスクリプションオファーと一言で言っても実は色々な種類があるんです。この記事ではオファーの説明は割愛しますので、気になる人は以下の「マーケティングオファー参考事例集」をダウンロードして研究していただければと思います。

マーケティングオファーの辞典
「こんなの今まで見たことない!!」
結構そう言われますよコレ。だって世界中のオファーを集めた本なんてなかったんですから。それがなんとメールアドレスを入力するだけでプレゼントとは。
以降はサブスクリプションのトレンドの中で効果が出ているものを事例を交えながら紹介します。
強制継続課金(フォースドコンティニュイティ)
「30日間無料※31日目から自動で課金がスタートします」というオファーがフォースドコンティニュイティです。ケータイのオプション契約でよく使われています。海外のサービスでは比較的よく見ます。契約の説明や課金スタートのアナウンスなどのケアができていないとカスタマーサポートが火を噴きます。

成約が前提になる無料契約なので、リードを掴むことに集中できることがメリットです。利用者側としては正直ウザいオファーでしょう。そこは商品力やサポートのオペレーションで対処していく必要があります。
チャーンプリベンション(解約防止)

契約済のお客様の離脱を防止するための手法。例えば、上記画像のように商品のアップデート後に既に契約済の方は価格を据え置きにして、新規契約者は値上げすることを告知するなどです。
契約期間バリエーション
サブスクリプションでも支払いのオプションを設けることは有効です。サブスクリプション契約は月契約が一般的。とすると年間12回のチャーンリスク(解約の危険)があることになります。もしも年間契約で契約してくれるなら月契約よりも良いですよね。期初に期末の売上予測がフィックスできるわけですから。

月契約と年契約の2つの支払いオプションを用意します。普通であれば月契約にしますよね?それを年間契約のみ20%オフにしてあげます。すると本来月契約しようと考えていた一定数は年間契約の方になだれ込みます。事業サイドとしては年間の売上予測が立てやすくなり経営が楽になります。
スタッフに支払う給料も年俸制にできると尚良いですね。
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