
強引なセールスの横行で消費者はもう何も信用しなくなってきました。大量に送られてくるDM。お試しエステの強烈な引き止め。ご近所さんは日曜の真昼間から宗教の勧誘。おかげで僕ら人類はインターフォンを鳴らされると警戒するという性質を身に着けました。ということで商売人にとってはしんどい状況です。
人が何かを購入する時にその選択肢というのは大体3つくらいあると言われています。これをエボークドセットと呼びます。消耗品のマーケティングではこの概念は特に重要で、、、
- エボークドセットに入る確率を増やす
- エボークドセットの中で選ばれる確率を増やす
この2ステップを成功させればコンバージョンが生まれやすくなります。つまりマーケティングで実現させたいことはこの2ステップってことですね。
競合に比べて自社のポジションを強くすることがメインの施策になります。ブランディングもそう。広告戦略もそう。商品もそうだし、まあ色んなことが考えられます。
でもその前によーく考えておかないとマズいことがあるんです。それがUSP(ユニークセリングプロポジション)。USPとは買い手にとって価値があることで競合がまだ提供できていない独自の価値のことを言います。
数百m圏内に複数の競合が存在しているコンビニを考えてみてください。ローソンのオーナーは70m程駅に近い場所にあるセブンイレブンをどうやって打ち負かせばいいんでしょうか?フランチャイズ本部の方針に任せておけばいいんですか?僕は違うと思います。自分の財布にお金を入れる蛇口をフランチャイズ本部に握らせるのは他力本願です。仮に多数の客をセブンイレブンに持っていかれたとしても何も言い訳はできません。セブンイレブンを打ち負かすにはUSPが必要です。
USPはスキル、マインド、ツール、オファー(商品、価格、保証、サービス、etc)、どれをとってもいいんです。ポイントは「Can」ではなく「Do」だということ。つまりできることではなくやる意思があるかどうかです。
競合のオファーを見ていると、アイデアが閃くことが多々あります。オファーについて詳細を知りたい方は[マーケティングオファーの参考事例を活用して簡単に売上を上げる]記事を参照ください。
サマリー
ドミノピザのキャッチコピーは時間的な優位性

ドミノピザの創業者は大学近くに出店する戦略をとっていました。大学生は人生で一番ピザを食べる年頃ですからね。大学生に自社のピザを選んでもらうには優位性が必要です。考えた末に生まれたUSPが「30分でおいしいピザを届ける」でした。注文したらすぐに食べたいという腹を空かせた大学生にはありがたいUSPですよね。その結果、創業者は若くして、大金を手に入れることになったそうです。
どんなビジネスにも適用できる心意気型コンセプトのUSP
USPをはっきりと打ち出している日本企業は少ないのが実情で、だからこそUSPがあるだけで優位に立てたりするんですが、
「考える立場にないよ」
と思っている人が多いようです。例えば、フランチャイズのオーナーはそうかもしれませんね。本部の戦略やポリシーに沿わなければいけないでしょうから。
この場合、ヒントになるのが心意気型コンセプトのUSPで勝負している企業です。マクドナルドはその典型例ですね。

マクドナルドのUSPは皆さんご存知。「スマイル0円」です。サービスの質に言及したコンセプトであれば本部の許可は不要でしょう。こうやってWebサイトに載せるのはマズいかもしれませんがね。この考え方はどの企業にも導入できることです。
もう一つ事例を。海外のサービスで靴のECを運営しているZapposです。

ZapposはAmazonに買収されました。Amazonは靴を売りたい?いいえ違います。Zapposを買収した動機はそのサービスの質を自社に取り込みたかったからです。
Zapposは社員の成長に寄与することを経営ポリシーにしていました。顧客思考が普通な世の中では珍しいことですよね。内部をケアすることによって、お客さんに最高のバリューを提供するという流れのコンセプトにしたんです。というわけでZapposの強みはカスタマーサポートとかカスタマーサクセスとかのお客さんとの接点です。ここがZapposが圧倒的に選ばれていた理由でした。
このポリシーは社員全員に共有されているので、社員はUSPを元に自分で判断します。わざわざ上司にお伺いを立てないから顧客にとってベストな判断を個人ができる。だから顧客からすると、「ここで靴を買えばいつも良い体験ができるんだよな〜」と、なるわけです。
USPの作り方
どうやってUSPを作るか?4ステップです。
ステップ1:ターゲットを明確にする
多数の人にメッセージを届けることは無理です。中3の男子と27歳のOLとでは価値観がかなり違います。だから刺さるメッセージが全然変わってくるんです。メッセージを届けるためにはお客を絞らないといけません。デモグラフィックデータ(性別、年齢、職業等)を絞って訴求したいターゲットを明確にしてください。
ステップ2:競合・強み弱みリストを作る
何度も言うようにUSPは競合と比較して相対的に強くないと意味がないので、相手を知らないと作れません。まず競合リストを作ってください。
- 競合は誰か?
- その競合が提供しているサービスと自社サービスの差は何か?
その差がわかれば、自社の強みと弱みが見えてくるはずです。それもリストアップしておいてください。次の工程で使います。
ステップ3:ターゲットが価値を感じるUSPを一文で作る
基本的な考え方としては強みを活かして、弱みをカバーすることです。最終的にしっくりくるUSPはいつもこの考えに則っています。
長い文章体はNGです。人は文章体だと本当に訴求したいメッセージを汲み取れません。必ず一文で定義します。
まあ悩んでください。時間掛けた方がいいです。競合のUSPを勝手に考えて、その上で自社のUSPを考えると比較的スムーズにいったりします。
ステップ4:USPを社内共有する
作って終わりだと意味がないので、それを実行する体制を整えてください。最初にやらないといけないことは宣言です。
何かしらのポリシーの中にUSPを含めて、朝礼でも何でもいいので、集まりの場で宣言しましょう。評価基準に含められるならそうすべきです。社員がUSPを元に働く環境を作ることは会社にとってプラスになります。
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